- FOCAL UTOPIA SGの音質が知りたい
- FOCAL UTOPIA SGを実際に使った人の感想が知りたい
- 初代UTOPIAとの違い・音質差が知りたい
評価:5
初代「FOCAL UTOPIA」が登場して早6年。
今回、2022年9月に新規リニューアルされたFOCAL UTOPIA SG をレビューしました。
初代UTOPIAとUTOPIA SG、両機を徹底比較します。
初代UTOPIAとかわらない、圧倒的サウンドはUTOPIA SGでも健在です。
ヘッドホンらしからぬ「スピーカーサウンド」を鳴らし、他の追随を許しません。
FOCAL UTOPIA SGで得られるもの
- 圧倒的なスピーカーサウンド
- 上品かつ洗練されたルックスデザイン
- ほかのヘッドホンを買わなくなる
近年に登場したFOCALヘッドホンのデザインを踏襲しているので、重量のわりに軽く感じるのが特徴。
初代UTOPIAで問題視された「ドライバーユニット」も信頼性が向上し、高性能化を果たしています。
お値段なんと60万超え……!
そこで本記事では、初代UTOPIAとUTOPIA SG、両機のちがいを徹底比較します。
- ヘッドホンの領域を超えた音質
- スピーカーのような立体的感がある
- 長時間聴いても疲れづらい
- リケーブルやヘッドホンアンプの恩恵を得られる
- 高額すぎる
- 開放型なので聴く場所を選ぶ
- 「本来の音」を鳴らすのが難しい
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この記事でわかることをまとめました。タグを押すとそこまで飛べます!
現在、視聴している「音楽環境」は下記のとおりです。
- Woo Audio / WA22
- Wyred 4 Sound / DAC-2V2SE
- Wyred 4 Sound / Ms Music Server
トータル100万円以上の組み合わせになり、UTOPIA SGを完全に鳴らし切る音楽環境です。
FOCAL UTOPIA SG(ユートピアエスジー)の概要
FOCAL UTOPIA SGは、“ピュア・ベリリウム振動板”を搭載した「初代UTOPIA」第2世代の進化モデルです。
FOCAL UTOPIA SGのスペック
- 製品名 / FOCAL UTOPIA SG
- 重量 / 490g(本体)
- 感度 / 104db SPL / 1mW@1kHz
- 周波数特性 / 5Hz~50kHz
- インピーダンス / 80Ω
- ドライバーユニット / 40mm”M字型”ピュアベリリウム・ドーム振動板
初代UTOPIAとの基本性能はほぼ変わりません。
具体的なスペック上のちがいは以下のとおりです。
UTOPIA SG
- ボイスコイルに銅とアルミニウムの合金を採用(信頼性向上)
- イヤーカップ内のグリルをドライバーユニットの形状に合わせた‘M’字型に変更
- 側圧が強くなり安定感が増した
- STELLIAなどの最新デザインを採用
- フィット感と軽量化を実現。カーボンファイバー製ヨーク
初代UTOPIA
- ドライバーのボイスコイルが断線しやすかった
- 側圧の弱さから若干の不安定があった
- UTOPIAスピーカーのデザインを継承
主にドライバーユニットの改良と、デザインの一新により「高級感」が増しています。
重量は490gと初代UTOPIAと変わりませんが、掛けた瞬間に思わず「軽い……!」と感じたほど。
側圧がほどよい加減で強くなり、安定感も改善されています。
初代UTOPIAは安定感が若干悪く、ズレやすかったです
UTOPIA SGは音楽をより快適に楽しめますし、上質な高級感は「持つ喜び」があります。
FOCAL UTOPIA SGの付属品
最新のFOCALヘッドホンと同様、ヘッドホンキャリングケースと付属品が元箱に収められています。
漆黒のケースには超弩級ヘッドホンが鎮座しており、開封時のワクワクをかき立てます。
FOCAL UTOPIA SGのケーブル
FOCAL UTOPIA SGのXLR4pinケーブルは、3.0mの無骨なケーブルです。
初代UTOPIAと変わらず、無骨ながらプロ用途なスタイル!
3.5mmケーブルは最新のFOCALヘッドホンと同仕様です。
ヘッドホン端子は従来どおり、堅牢性に優れたLEMO端子。
線材はおそらく24AWGのOFC(無酸素銅)です。(※24AWG=0.5105mm)
FOCAL UTOPIA SGを徹底レビュー【初代UTOPIAと比較】
FOCAL UTOPIA SGの特徴を紹介しつつ、初代UTOPIAと徹底比較します。
FOCAL UTOPIA SGの特徴
高級感に満ちたハウジング
本機最大の変化は、デザインの一新です。
フランスの“エスプリ(魂)”を融合することで美しさと機能美を追求したモデルです。
初代UTOPIAのベースはそのままに、FOCAL最新のデザインがプラスされています。
思わず息を呑んでしまう美しさです!
初代UTOPIAとの外観の変化は下記をご覧ください。
デザイン以外に変わった点は、初代UTOPIAとハウジングの質感がちがいます。
初代UTOPIAは艶感のあるツルツルしたハウジングに対し、当機はつや消しの「マット加工」が施されていました。
初代UTOPIAより軽量化がされていますが、重量自体は同じ490g。
最新の形状を採用されているため掛け心地は、UTOPIA SGに軍配が上がります。
ヘッドバンドの側圧は絶妙な強さなので安定感がありました。
大理石調のヨーク
ヨーク(アーム)のデザインも変更されています。
ヨークの形状は変わりませんが、模様が大理石のような上質な仕上がりです。
初代UTOPIAとの具体的な変化は以下の画像で確認してみてください。
カーボンファイバー製となり、絶妙な薄さと「美しいカーブ」を描いています。
さまざまな頭の形とサイズにフィットするデザインです。
LEMO端子の取り付け位置
全モデルと同一のロック機構をもつ「LEMO端子」。
UTOPIAだけに与えられた信頼性の高い端子になります。
ただし初代UTOPIAとは着脱する位置がちがい、軽量化の一旦とかけ心地の改善につながっています。
改良されたドライバーユニット
本機の要は、ドライバーユニットの改良にあります。
ドライバー内部にある「ボイスコイル」に銅とアルミニウムの合金を採用。
一時問題となった破損リスクを改善し、高性能化を果たしています。
ボイスコイルが断線し、音が出なくなった時は焦りました。
確認しづらいですが、イヤーカップ内のグリルはドライバーユニットの形状に合わせた「M字型」です。
FOCALヘッドホン最上位モデルの代名詞「ピュア・ベリリウム振動板」も搭載され、極上のサウンドが楽しめます。
ラムスキンレザー製のイヤーパッド
UTOPIA SGのイヤーパッドは、20mm厚のラムスキン・マイクロファイバーの2種類で構成されています。
- 2種類の素材で構成
- 無数のパンチによる音響設計
- スピーカー特有の「残響感」を引き出す
上記を実現し、ほどよい密着度で耳が疲れません。
イヤーパッドの交換について
イヤーパッドは交換が可能で、少し強めに引っ張れば簡単に取り外しができます。
どんなに大切につかってもイヤーパッドは劣化します。
上記のようなカバーを着用することで劣化防止になります。
音質への影響は最小限なので、長く愛用するためにも検討してみましょう。
FOCAL UTOPIA SGを実際に使った感想
FOCAL UTOPIA SGを実際に視聴した感想と、初代UTOPIAとの音質差を紹介します。
結論から言うとFOCAL UTOPIA SGは、神ヘッドホンです。
これまでのヘッドホンの枠を超えた「別次元のサウンド」を楽しめるからです!
本機は神ヘッドホンであると同時に、一度聴いてしまうと後にはもどれない「悪魔のヘッドホン」でもあります。
初代UTOPIAとUTOPIA SGの音質比較は以下のとおりです。
レビューはあくまで個人の感想です。ご使用の音楽環境によって音質は変わります。音質レビューにあたり、メーカー推奨の「エージング(24時間)」を行っています。
一見すると初代UTOPIAのほうが優れているように感じますが、正直、大差ありません。
あえて言うなら、透明感のある高音域と広い音場なら初代UTOPIA。
濃密な中音域と臨場感溢れるサウンドならUTOPIA SG。
両機ともに「頂上決戦」に相応しいレベルの音質です。
実際に使った感想
高域の伸びは「初代UTOPIA」より控えめ
初代UTOPIAを6年聴き続け、UTOPIA SGで感じたのは「高域の伸び」が絶妙に抑えられている点です。
どちらかと言えば、中音域の押し出しが強くなり「音の厚み」が増しています。
初代UTOPIAと交互に聴き比べした僕の所感です!
透明感ある開放的な鳴りの初代UTOPIAに対し、UTOPIA SGはボーカルの口元がより近くなり、厚みのあるパワフルなサウンドが特徴です。
UTOPIAの「空間表現」に驚く
本機を一聴して気づいたのは、ヘッドホンらしからぬ広い音場表現です。
頭の中で自然と「音が立体的」に配置されるイメージ。
開放型なのに、ドラムのキックからは「風圧」を感じるほどの迫力があり、ほかのヘッドホンでは上記のような体験は難しいとさえ感じます。
本機の音質は「開放型ヘッドホン」ながら、広大な音場と、厚みのある低音域を持ち合わせています!
ヘッドホンに上記の価格は「ありえない……」と思うかもしれません。とはいえ、その価格以上のサウンドをFOCAL UTOPIA SGはもたらしてくれます。
ドライバーの能力を引き出すのが難しい
FOCAL UTOPIA SGは初代UTOPIAと同じく、本来のサウンドを鳴らし切るのが少し難しいです。
プレーヤー直刺しなど、ドライブ力の低いポタアンをつないでも「UTOPIA本来の音」は楽しめません。
正確には鳴らしにくいというより「ドライバーの能力をアンプ側がうまく引き出せるか」にかかっています。
完全に鳴らしきったたその先に「神のサウンド」が待っていました。
UTOPIA本来の高音域は、金属的な鳴り方をしません。
美しくもスーっと伸びきる高音域。ある時はエネルギッシュに、またある時は甘く切ないボーカル域。開放型という枠に収まらないパワフルでダンピングの効いた低音域。
「ヘッドホンをしている感覚すら薄れてくれる……」
あらゆる音源が持つ可能性をすべて引き出し、“魂を込めて奏でる”。
FOCAL UTOPIA SGは、神ヘッドホンと断言できます。
FOCAL UTOPIASGを鳴らし切る3つのコツ
FOCAL UTOPIA SGは初代UTOPIAに引き続き、本来の音質を聴くことが少し難しいヘッドホンです。
公式スペックでは104db SPL /1mW、80Ωと標準的。
スペックだけを見ると、決して鳴らしにくいわけではありません。
ですが、ドライブ力の強いアンプを通さないとUTOPIA SG本来の音を楽しめません。
高域の伸び・音の厚み・低音域の押し出しがまるで違ってきます。
本機を完璧なパフォーマンスにするための方法は、下記をご覧ください。
上記の3つが必要だと体感しました。
とはいえ、オーディオはトータルの相性で音が決まるので、一概にこれが正解とは言えません。
実際に使いつつ、バランスを整えていく必要があります。
アンプや機材にこだわろう
アンプやDACは可能な限り力を入れたいところです。
UTOPIA SGは、音源や機材の個性をそのままピュアに描き出します。
機材に力を入れると、確実に音色が変わります。
リケーブルをしよう
UTOPIA SGは「リケーブル」することを強くおすすめします。
ハイエンドケーブルを使うことで、まるでアンプを使ったかのような音質変化を得られるからです。
UTOPIA SGだからできる線材の「音質傾向」や「違い」を繊細に表現します。
「リケーブル」する楽しみを存分に楽しめます!
UTOPIA SGをリケーブルした感想は「【FOCAL UTOPIA】ハイエンドリケーブルをレビュー」でくわしくまとめています。
電源にこだわろう
オーディオにとって「電源」は大切な要素です。
電源を整え、クリーンで適性な電圧を機材にかけることでトータル的なパフォーマンスが向上します。
余談ですがUTOPIA SGは「電源ケーブル」を変えただで、音質変化をしました。
FOCAL UTOPIASGと他FOCALヘッドホンを徹底比較
FOCAL UTOPIA SGと同社ヘッドホンとの比較は下記をご覧ください。
製品名 | UTOPIA SG | STELLIA | RADIANCE | CLEAR MG | CELESTEE |
---|---|---|---|---|---|
オススメ度 | |||||
形式 | 開放型 | 密閉型 | 密閉型 | 開放型 | 密閉型 |
ドライブユニット | 40mm‘M’字型ピュアベリリウム・ドーム(信頼性向上) | 40mm‘M’字型ピュアベリリウム・ドーム | 40mm‘M’字型アルミニウム/マグネシウムドーム | 40mm’M’字型マグネシウム・ドーム | 40mm‘M’字型アルミニウム/マグネシウムドーム |
質量(本体のみ) | 490g | 435g | 435g | 450g | 430g |
アンプの必要性 | 必ず必用(鳴らしづらいから) | 必用 | 不要 | 不要 | 不要 |
年式 | 2022 | 2019 | 2020 | 2021 | 2021 |
価格 | 660,000円 | 363,000円 | 165,000円 | 170,500円 | 110,000円 |
購入する | 購入する | 購入する | 購入する | 購入する |
本機は「開放型ヘッドホン」でありながら、パワフルに鳴り響く重低音を持ち合わせています。
開放型の利点をいかした奥ゆきのある空間が同居しており、そのサウンドはまさにスピーカーのような立体感があります。
リケーブルやアンプと組み合わせることで、価格以上の音を目指せます!
もちろん、下位モデルもかなりの実力者。なかでもFOCAL STELLIAは本機と同じ「ベリリウム振動板」を搭載した密閉型モデル。
開放感は少なめですが、口元の近い、深みのある魅惑的なヴォーカル域が特徴です。
CELESTEEは10万円以内(フジヤエービック)で購入できるコスパの良いモデルとなります。
FOCAL UTOPIA SGに関するよくある疑問
FOCAL UTOPIA SGに関するよくある疑問をまとめました。
- FOCAL UTOPIA SGはどこで購入する?
-
2022年10月現在、FOCAL UTOPIA SGは代理店・専門店での予約が可能です。
- リケーブルするべき?
-
FOCALUTOPIAは「リケーブル」しましょう。
ハイエンドケーブルに交換することにより、さらなる音質改善が見込めるからです。おすすめは、コア数の多いケーブルをおすすめします。間違いなくUTOPIA SGの音質が向上につながります。
詳細は「【FOCAL UTOPIA】ハイエンドリケーブルをレビュー」にまとめました。
- 中古で狙うのはあり?
-
超高額ですし、中古を狙うのは大いにありです。
とはいえ、購入の際は慎重になりましょう。
ドライブユニットが壊れているリスクがあるからです。
中古のリスクに関しては「FOCAL UTOPIAを中古で購入するメリット・デメリット」で深堀りしました。
- ヘッドホンアンプに繋ぐべき?
-
ヘッドホンアンプに繋ぎましょう。
プレーヤー直刺しくらいでは、ドライバーユニットの性能がうまく引き出せません。
UTOPIAの伸びしろを最大限に引き出すためには、ヘッドホンアンプは必須だと思います。
- おすすめのアンプは?
-
僕のおすすめするアンプは、WOO AUDIOの『真空管アンプ』です。
“100%真空管だけで音が増幅できる”からです。
貴重なヴィンテージ真空管の音色を楽しみつつ、Focal Utopiaを強力にドライブできます。
- UTOPIAが故障した場合は?
-
故障個所にもよりますが、「ラックスマン」にて対応してもらえます。
ドライバーユニットの不調の際、ラックスマンに問合せたところ、無事に修理をしていただけました。
音が出なくなった場合は、まず正規代理店である「ラックスマン」に問い合わせてみましょう。
»参考記事:FOCALヘッドフォンUTOPIA等のドライバー保証期間についてのお知らせ
FOCAL UTOPIAが故障!修理に出すための5ステップ【徹底解説】 FOCAL UTOPIAのお悩み 「FOCAL UTOPIAが故障したけど、修理はどこ出せばいいのかな?」 「修理費用はいくら掛かるのだろ……?」 「UTOPIAって壊れやすいのかな?故障… - UTOPIAの高音域が「金属的」で合わないときは?
-
再生環境を見直してみましょう。
UTOPIAのドライバー性能をうまく引き出せていない可能性があります。
フルドライブしたUTOPIAの高音域は、金属的な鳴り方をしません。
機材の相性もありますので、いろいろ試しつつ、好みの音を探求してみてください。
- スピーカーを買ったほうが良い?
-
スピーカーサウンドを耳元で聴けることがUTOPIAの強みです。
ご家庭の都合上、『本当はスピーカーで音楽を楽しみたいけれどそれは厳しい』そんな人にUTOPIAは向いています。
また、スピーカーでは得られない「音楽の新しい発見」をUTOPIAで体感できるでしょう。
» 参考記事:【ヘッドホンとスピーカー】音が良いのはどっち?【事実】
FOCAL UTOPIA SGはこんな人におすすめ
FOCAL UTOPIA SGは「ヘッドホン沼から本気で抜け出したい方、家庭にいながらハイエンドなスピーカーサウンドを楽しみたい方」におすすめです。
一度、ヘッドホンの深い沼にハマると抜け出すのが困難です。
高音質なヘッドホンを求めて、ハイエンド機を買いつないでも散財は増え続けます。
FOCAL UTOPIA SGがあれば“ヘッドホン沼からの脱却”が可能です!
この機会にヘッドホン沼からの脱却をしてみましょう。
まとめ:FOCAL UTOPIA SGを徹底レビュー【初代UTOPIAと徹底比較】
本記事では「FOCAL UTOPIA SGを徹底レビュー【初代UTOPIAと徹底比較】」について書きました。
約60万円台と、ヘッドホンとしては超高額帯。
しかし、その価値は十二分にあります。
ほかのFOCALヘッドホンをふくめ、FOCAL UTOPIA SGは「最高峰」の仕上がりだと感じました。
- ヘッドホンの領域を超えた音質
- スピーカーのような立体的感がある
- 長時間聴いても疲れづらい
- リケーブルやヘッドホンアンプの恩恵を得られる
- 高額すぎる
- 開放型なので聴く場所を選ぶ
- 「本来の音」を鳴らすのが難しい
気になるタグを押そう
この記事でわかることをまとめました。タグを押すとそこまで飛べます!
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