音質・満足度:
「じっくり腰を据えて、最高の真空管サウンドを聴いてみたい……!」
そのような願いを叶える真空管ヘッドホンアンプがWOO AUDIO WA22です。
WOO AUDIOは知る人ぞ知る、アメリカのハイエンド・ヘッドホンアンプメーカです。
この記事を書いている僕は、WOO AUDIO WA22の使用歴が5年以上。
自身のInstagramアカウントでWOO AUDIO(@wooaudio)と交流しています。
本当の“真空管サウンド”を聴いてみたい方は、是非ご覧ください。
WOO AUDIO WA22の概要

- 製品名 / WA22 [2nd Gen]
- 据置きタイプ:¥499,800(税込)
- 真空管 /使用真空管×5本(出力管:6080(6AS7G)×2,ドライバー管:6SN7×2,整流管:5U4G×1)
- サイズ / 幅305mm x 奥行き267mm x 高さ178mm(真空管なしのサイズ)
- 入力端子 : XLRバランス端子 x 1, RCAアナログ端子 x 1
- 出力端子 : XLR3pin端子(L,R) / XLR4pin / 6.3mm 標準ステレオ端子
- フルバランス / A級動作 / フルディスクリート構成
- カラー / Black・Silver
- 電源電圧 / AC100v~AC220V
- 互換性のある真空管を自己バイアスで調整
※電源ケーブル、XLRケーブルは別途必要となります。なお、現行のWA22は[2nd Gen]に更新されており、プリアンプ機能や內部パーツの変更が施されています。
「WOO AUDIO WA22」は増幅部に半導体を使っておらず、真空管のみで音が増幅ができる“純粋な真空管アンプ”となります。
厚みのあるアルミ製のシャーシが重厚感を放っており、細いスリット加工が施されています。
カラーはシルバーとブラックの2色。


本体サイズが 約305mm x 267mm x 178mm。小さめのラックでも、コンパクトに収まります。
分厚いアルミ筐体ですので、重量はズッシリと重め。
DACとのXLRバランス接続が可能です。
付属の真空管について
WOO AUDIO WA22を購入すると、標準で真空管セットが付属してくるので安心です。
- 整流管:Svetlana 5U4G
- ドライバー管:Sylvania 6SN7GTB ×2
- 出力管:Philips 6080WC ×2
上記の5本が付属していました。(※付属の真空管メーカーや年式は固定ではありません)
WOO AUDIO WA22をレビュー
WOO AUDIO WA22の特徴を紹介していきます。
上記の条件を満たした真空管はそう見つかりません。同時に「素性の良さ」を持ち合わせており、ひとたびWA22の音を聴くことで真空管アンプのイメージがガラッと変わるはず。
真空管だけで音を増幅するため、真空管を交換する楽しみを存分に楽しめるのが本機最大の特徴です。
個性あふれるビンテージ真空管の味わいを具現化できるのはWOO AUDIO WA22以外に存在しません。
それでは、WOO AUDIO WA22の特徴を1つずつ深堀りしていきましょう。
オール三極管構成
真空管の中でも3次歪が少なく、直進性の良い三極管のみの構成です。
高出力は出せませんが、ヘッドホンアンプに特化することによって成立します。
さらに三極管は、現存している球数もそこそこあるため、わりと入手は容易です。(※レア物以外)
「自己バイアス方式」なので、互換性のある真空管に交換が可能となります。
ディスクリート構成
ディスクリート構成は、1つ1つの回路に異なるパーツが使われているという意味です。
つまりICなどを使わず、自由にカスタマイズが可能となります。
ディスクリート構成であれば、オーディオ用の高音質パーツを採用・交換が可能ですし、音質もグンッと上がる傾向です。
WOO AUDIO WA22に近い音質の「WOO AUDIO WA8」にも採用されていますので気になる方は、あわせてご覧ください。
» WOO AUDIO WA8 eclipseを徹底レビュー【真空管アンプの極み】
A級動作
WA22は信号あたり「三極管シングルアンプ」として動作しています。
三極管自体は、高出力を出せません。
A級動作の真空管アンプは出力を犠牲にする代わりに、真空管の増幅カーブのまっすぐ美味しいところをつかっています。
要するに、三極管の美しい響きを楽しめるアンプとなります。
フルバランス
WA22は內部が4ch構成アンプ構成となり、L+,L-R+,R-の信号を個別に増幅します。
アースには一切信号が流れませんので、音の混信や雑音が少ないのが特徴。
音の分離がよく、パワフルでエネルギッシュな音質です。
ヘッドホンを強力にドライブできる
WA22はヘッドホンの能力を完全に引き出します。
駆動力が抜群なので、鳴らしづらいヘッドホンと相性が良いです。
たとえば、FOCAL UTOPIAはスペック的に鳴らしやすい部類のヘッドホンですが、実際はヘッドホンアンプなしではまともな音が出ません。
WOO AUDIO WA22は、そんなUTOPIAを完璧に鳴らすことができるヘッドホンアンプです。

UTOPIAとの相乗効果もあり、ビンテージ真空管の音色が明瞭に楽しめます!
お互いの持ち味を引き出せるため、非常に相性が良い組合わせとなります。
なお、UTOPIAの詳細については「FOCAL UTOPIAを徹底レビュー【結論:神ヘッドホン】」にて音質レビューしていますので、興味のある方はご覧ください。
DACが必要になります
WOO AUDIO WA22には、DAC機能がありません。別途DACを用意する必用があります。
おすすめは、同じディスクリート構成のアンプが良いでしょう。
僕はWyred 4 Sound [DAC-2v2SE]を使用しています。
同じディスクリート構成のDAC-2v2SEは、內部にこれでもかと高音質パーツを採用しており、音数と厚みが増します。
日本での取り扱いはありませんが、こちらから購入が可能です。
バランス接続はオヤイデの純銀ケーブル

WOO AUDIO WA22とDACは「XLRケーブル」でつなぎましょう。
とくにおすすめなのが、オヤイデAR-910。
雑味やノイズがなくピュアな音質が体感できます。オヤイデAR-910は純銀単線で、シールド性能も抜群。
ほかの銅線や「銀メッキ銅線」のXLRケーブルも試しましたが、結論は『オヤイデAR-910』に落ち着きました。
詳しくは、純銀線の音質【結論:線材の太さで決まる】にて解説しましたので是非ご覧ください。
WOO AUDIO WA22を使った感想
WOO AUDIO WA22の音質は、これまでの真空管アンプとは比較になりません。
真空管のみで各回路を増幅をするため、真空管の音色をダイレクトに楽しむことができるアンプです。
意外にも“純粋な真空管アンプが奏でる音”は、透明感あふれるダンピングが効いた低音域が特徴。
独特のツヤ感もありますし、なにより搭載する真空管によって音の質感が変わります。

音の厚みは十分!迫力があり、聴いてて楽しいサウンド!
WOO AUDIO WA22が奏でる真空管サウンドは、半導体アンプでは味わえません。
究極の真空管アンプ
WOO AUDIO WA22は真空管アンプとして高音質になるための条件が整っています。
- すべての増幅を真空管に任せるとどうなるか
→S/Nは劣ります。音に厚みと味わいが加わる。 - フルバランスにするとどうなるか
→ダイナミックレンジが広がり、音の分離が向上。 - ビンテージ管を使うとどうなるか
→シャープで高解像度、または音楽性豊かな美音になる
ビンテージ真空管を最大限に堪能できるアンプです。
チューブローリングを楽しめる
チューブローリング(珠転がし)ができるのは、本機の魅力の1つ。
交換できる真空管に幅があり、無数の組み合わせをWOO AUDIO WA22では楽しめます。
具体的には3種類の真空管で構成されています。
- 整流管(5U4G,5Y3G,274B)
- ドライバー管(6SN7,12AU7,2C51)※12AU7,2C51は変換アダプターが必用
- 出力管(6AS7G,A1834,WE421A)
真空管の組み合わせは自由ですが、その日の気分でメーカ別に組むことも楽しみの1つ。
ある日はシャープで高解像度のRCAというメーカーで統一できますし、 またある日は、ヨーロッパのOsram真空管で音楽性豊かな美音をWOO AUDIO WA22では可能です。
個性あふれる、”古き良き真空管サウンド”を楽しめるなんてロマンしかありません。
唯一無二の真空管サウンドをWOO AUDIO WA22は実現可能です。

WOO AUDIO WA22【5つのQ&A】
マニアックな本機ですが、使い方がわからず、過去かなり悩みました。
使い方を間違えると故障の原因になります。安心して音楽を楽しむためにも、下記10個のQ&Aをご覧ください。
- 真空管の知識がなくてもWA22を使える?
-
多少の専門知識は必要ですが、問題なく使えます。
使っているうちに、徐々に知見が貯まりますので、まずは触ってみましょう。
- 真空管の交換は難しい?
-
真空管の交換は簡単です。まずは実際に交換して慣れましょう。
真空管の取り扱いは不安になりますが、安心して下さい。慣れてしまえば、簡単に交換が可能です。
なお、真空管の交換は「真空管の交換方法【簡単な3つの手順】」にて解説しており、WA22を軸に据えた交換方法となっています。是非参考にしてみてください。
- WA22はどこで購入できる?
-
日本での取り扱いは、フジヤエービックだけです。WOO AUDIOの公式サイトでの購入も可能ですが、日本対応のフジヤエービックのほうが安心です。
- 使える真空の種類はどれくらいある?
-
数十種類以上です。各段で交換が可能なため、幅が広いです。
使用可能な真空管チャートがWOO AUDIOに掲載されているので、こちらをご覧ください。
- 電圧バイアスを調整する必要は有る?
-
WA22は「自己バイアス」なので調整の必要はありません。
WA22は自己バイアス方式なので真空管の交換が容易にできます。互換性のある真空管に交換しつつ、気軽に楽しみましょう。
WOO AUDIO WA22はこんな人におすすめ
WOO AUDIO WA22は「古き良き真空管サウンドを余すことなく楽しみたい方」におすすめのヘッドホンアンプです。
真空管の音色を100%鳴らせるWOO AUDIO WA22は、現代の半導体アンプに負けずとも劣ることはありません。
真空管でしか鳴らせない、独特の透明感と艶感は心を奪われます。
高価な上に海外製ということもあり、約50万円と敷居は高め。本体以外にも揃えるべき機材等があるので出費は多くなりがち。
予算を抑えたい方は、同社の「WOO AUDIO WA8 eclipse」なら、¥349,800(税込)とWA22より15万円ほど安く入手可能です。
WOO AUDIO WA8 eclipseはフルバランスではありませんが、アンプの構成は、整流管がないWA22です。

その実力はWA22に近く、しかもポータブルとして外に持ち出せるのでコスパが高いです!
WOO AUDIO WA8 eclipseの詳細は「WOO AUDIO WA8 eclipseを徹底レビュー【真空管アンプの極み】」にて深掘りしていますので興味のある方は是非ご覧ください。

WOO AUDIO WA22を徹底レビュー【究極の真空管アンプ】まとめ
本記事では「WOO AUDIO WA22を徹底レビュー【究極の真空管アンプ】」について書きました。
WOO AUDIO WA22は、世界でも有数なフルバランス仕様の真空管アンプです。
ビンテージ真空管のサウンドを純粋に楽しみつつ、最新の機材と接続ができるある意味レアなアンプです。
ビンテージ真空管の音色は、至福のひととき。
WOO AUDIO WA22は真空管マニアの方はもちろん、真空管に触れたことがない方にも新しい音楽の感動をもたらしてくれるはずです。
ともに最高の真空管ライフを過ごしましょう。
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