HIFIMAN SUSVARA UNVEILEDをレビュー！実機を聴いてみた感想【ヘッドホンで生音が聴ける】

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中国の高級ヘッドホンメーカー「HIFIMAN」より超弩級モデルが登場。

本記事では実機を購入し、じっくり試聴してみた感想をもとに紹介。

音の感想をはやく見たい方は「実機を聴いてみた感想⇩」からどうぞ。

あくまで筆者の主観ですが、ぜひ参考ください。

HIFIMAN SUSVARA UNVEILEDの概要

製品名	HIFIMAN SUSVARA UNVEILED
ドライバー	平面駆動型 （ナノメートル厚振動板+ステルスマグネット）
感度	86dB
インピーダンス	45Ω
ケーブル端子	3.5mmデュアル（HiFiMAN標準）
質量（実計測）	約431.5g（ケーブル除く）
メリット	音の鮮度が高い 軽くて快適な装着感 広い空間に各音が煌めいている 生音のようなリアリティがある あらゆる音楽にたましいが宿る
デメリット	超高額で購入ハードルが高い トータルバランスで費用がかかる 純正ケーブルがダメダメ →リケーブルで激変する
おすすめ度
視聴してみる	レンタルはこちら

HIFIMAN SUSVARA UNVEILEDは

• ナノメートル厚の平面振動板
• ステルスマグネット構造

を搭載した、HIFIMANの最新フラッグシップヘッドホンです。

従来モデル「SUSVARA」から7年ぶりの進化版として登場。

元箱を開封した様子は以下です。

本機の付属品や旧モデルのSUSVARAとの違いにも触れながら、以下でくわしく紹介します。

SUSVARA UNVEILEDの付属品

付属ケーブルは

• 単結晶導線
• 単結晶銀線

を組み合わせたもので、インプット側は6.35mmプラグと4pinXLRの2本が付属しています。

豪華なオーナズガイドが付属しています。

中身を開いてみると、以下の内容です。

収納用の巾着袋が5枚入っています。

以下はハウジング用の収納袋。

さすがに面倒なので、毎回は使いません……。

SUSVARAとの違いは？

本機は外観こそSUSVARAに似ているものの、内部構造に明確な違いがあります。

最大の違いは

• 開放性の向上
• 振動板の表面処理
• 振動板がむき出し

振動板がむき出しのハウジング構造にくわえ、その周りも無数の穴で囲まれています。

斜めから見たイメージは以下です。

裏面から見るとドライバーが透けて見えます。

ドライバーを保護する目的で、以下の磁気ベールが付属。

振動板の厚さはなんと100万分の1メートル（＝1マイクロメートル）以下。

振動板が軽ければ軽いほど、素早く正確に振動できるため

• 高解像度
• 素早い音の立ち上がり
• 豊かな音のディテール

を実現。

ただし、軽いが故にメッシュで反射した音によって乱れやすいとのこと。

その点、本機は旧モデルからウィンドウシェード方式とグリルを撤廃。

さらに、振動板の導体層には最も伝導率が高い銀をコーティング。

また、音の傾向としてもナチュラルな音作りが特徴で、解像度と空間表現が一段階進化。

マグネット振動板がむき出しのため、使わないときは磁気ベールを装着しましょう。

HIFIMAN SUSVARA UNVEILEDをレビュー！実機を聴いてみた感想

HIFIMAN SUSVARA UNVEILEDをじっくり試聴してみた感想を紹介します。

装着感が軽くて心地良い

まず装着してみて感じたことは、とにかく軽いということ。

公式では430gとありますが、実際に計測してみると431.5gという結果に。

数値で見ると重めなのですが、本機の構造がそれを感じさせない設計となっています。

レトロな風合いながら、細かく調整可能。

ヘッドバンド部分は無数のパンチングが施されています。

高級感のあるイヤーパッドも密着性が良好。

他のフラグシップでは長時間の試聴だと疲れやすいですが、本機は快適です。

純正仕様だとイマイチ

本機のファーストインプレッションは、悪い意味で「これが100万円超えの音？」でした。

もちろん、音はいいのですが肩すかしをくらったというか。

• 音の密度感がない
• 音量を上げてもパワーがない
• 高域が盛大に刺さる

聴き疲れがすごく、購入から1ヶ月くらい経っても同じ感想。

まともにレビューできずにガッカリモード。

手放す段取りを進めていました。

リケーブルで音が劇的に向上

そんなとき、純正ケーブルに目をつけました。

公式によると

• 単結晶導線
• 単結晶銀線

を組み合わせたものとありますが、ここに違和感を持ち、リケーブルすることに（UTOPIA用ケーブル）。

ケーブルを交換した途端に音の表情が一変。

• 低域の沈み込み
• 音の粒立ち
• 空間の広さと立体感

音の情報量も含めまさに別物。

豪快に刺さって聴いていられなかった高音域がきれいに伸び切ります。

リケーブルはこの機種において“必須”といっても過言ではありません。

より生音に近い音が聴けた

本来のサウンドを聴いて感じたのは、より生音に近い音が聴けたという点。

ぼんやりその言葉を捻り出しわけではなく、自然に生音感を得ました。

なお、試聴環境は以下のとおりです。

従来のヘッドホンでは得られなかった“生音感”は唯一無二。

バックに多数の楽器が重なっても、声が埋もれることなく立体的に前に出てくる表現力は圧巻です。

圧倒的な音の再現力です。

音場が広く楽器がくっきり分離する

とくに印象的だったのは

• クラシック音源
• オーケストラ音源（劇伴曲など）

における楽器の定位と音場の広がりです。

左右だけでなく前後・上下にも音が広がるように感じられ、各楽器の響きが鮮明。

ヘッドホンであることを忘れるほどの空間表現に、驚きを隠せませんでした。

まさに、“音源に収められた空間”をそのまま体験できるヘッドホンです。

HIFIMAN SUSVARA UNVEILEDと他製品を比較

SUSVARA UNVEILEDのような超弩級ヘッドホンを語る際には、他のフラッグシップ機との比較が欠かせません。

単純な優劣では語れませんが、本機は他機と比較しても一歩抜きん出た存在です。

たとえばFOCAL UTOPIA（SG）は開放型・ダイナミックドライバーであるものの、引き締まった量感ある低域とエネルギッシュな音像が魅力。

一方のSUSVARA UNVEILEDはよりナチュラルで広がりのある音場を持ち、定位の正確さも際立ちます。

低域表現においては、UTOPIA（SG）が一歩リード。

他機種に比べて、どんな音楽でも“鳴ら仕切る”ので、万能感も高く、ヘッドホンの最終到達点といえる一台です。

HIFIMAN SUSVARA UNVEILEDを鳴らし切るコツは？

SUSVARA UNVEILEDは、極めて繊細で高解像なサウンドを持つ分、使用する機材や環境によって音質は大きく左右されます。

• アンプとの相性
• 電源環境
• 再生ソースのクオリティ

など、複数の要素が絡み合って初めて“本来の音”が立ち上がってくる印象。

SUSVARA UNVEILEDの潜在能力を最大限に引き出すための4つのポイントを紹介します。

ヘッドホンアンプに繋ぐ

SUSVARA UNVEILEDは

• 感度86dB
• インピーダンス45Ω

と、非常に鳴らしにくいスペック。

スマートフォンやポータブルプレーヤーでは到底ドライブしきません。

据え置き型のハイパワーヘッドホンアンプが必須。

出力が十分で音の色付けのないモデルなら、本機の真価を発揮できます。

純正ケーブルを使わない

まずは付属の純正ケーブルで楽しむものですが、SUSVARA UNVEILEDのポテンシャルを最大限に引き出すにはリケーブルが不可欠。

はっきり言って、純正ケーブルでは本機の実力は聴けないと体感しました。

それでも、純正ケーブルが本機の魅力をダウンさせている印象。

中古市場にちらほら売りに出ているところを見ると、私と同じ印象を持った方もいるかもしれません。

本機に限って言えば、音質の中核といえるでしょう。

電源環境を整える（クリーン電源で駆動力を安定化）

SUSVARA UNVEILEDほどの高精度ヘッドホンは、電源ノイズや電圧の変動にも敏感。

できるなら、クリーンな電源供給を行なってみてください。

クリーン電源トランスなどを導入することで、駆動力が安定し、音場のブレが抑えられます。

結果として、よりクリアで立体的なサウンドが得られるようになります。

音源のクオリティを上げる

どのフラグシップ機にも言えることですが

• MP3
• 低ビットレートのストリーミング音源

などでは、SUSVARA UNVEILEDの持つ微細な情報量を生かしきれません。

• 録音の良いFLACやDSDハイレゾ音源
• 高品位なCDリッピングデータ

など、ソース自体の品質を見直してみましょう。

くわえて

• DAC
• プレーヤー

などの性能も音質に直結するため、システム全体の見直しもおすすめ。

ただし、音の好みは人それぞれなので、自分がベストだと感じる音を探す楽しみがあります。

機材や音源の色を描き出すので、そこを楽しみながら見つけてみてください。

HIFIMAN SUSVARA UNVEILEDを導入する注意点

SUSVARA UNVEILEDは高額な投資となる以上、導入後に「思っていた音と違う」といった理由で後悔するケースもゼロではありません。

SUSVARA UNVEILEDを購入する前に押さえておきたい注意点を紹介します。

期待した音と違い早まって手放さない

ネット上の絶賛レビューを見て勢いで購入したものの、実際に聴いて「思ったほど良くなかった」と感じてしまうケースも。

「実機を聴いてみた感想⇧」でお伝えしたとおり、純正ケーブルがあわずに手放すことを検討しました。

初期印象だけで判断せず、じっくりと好みの組み合わせを探していくのがおすすめです。

高音域がやや刺さる傾向あり

高解像度ゆえに高域の情報量が多く、曲や環境によっては「キツく」感じる場面もあります。

とくにエッジの立った女性ボーカルや金物系の打楽器ではやや刺さり気味。

とはいえ、リケーブルを行う場合、線材次第ですが純正ケーブルほどの刺さりはありません。

DACやアンプはもちろん、ケーブルなどで軽減できるため、システム全体のバランス調整を意識してみてください。

ドライバーの損傷リスクがある

SUSVARA UNVEILEDは極めて薄い振動板を採用しており、構造も非常に精密。

物理的な衝撃やゴミ吸着によるダメージリスクがつきまといます。

使用しないときは、必ず付属の磁気ベールを被せておきましょう。

他社機より手間がかかって扱いづらいですが、長くいい音を楽しむためにも丁寧な保管が求められます。

HIFIMAN SUSVARA UNVEILEDはどんな人におすすめ？

HIFIMAN SUSVARA UNVEILEDがおすすめな人の特徴は以下のとおりです。

音質に一切の妥協ができない人

機材選びで最優先するのが「音質」という方にとって、SUSVARA UNVEILEDは理想的。

• ナノメートル厚の振動板
• ステルスマグネット

といった技術を惜しみなく投入し、音源に込められた鮮度をダイレクトに楽しめます。

システムを突き詰めるごとに音が応えてくるため、ハイエンド志向のオーディオファイルにはたまらない1台です。

クラシックやジャズなど生音系を好む人

録音現場の空気感や演奏者のニュアンスを重視するなら、SUSVARA UNVEILEDの自然で正確な音の再現力がベスト。

までしっかり伝えてくれます。

聴くたびにじわじわと感動でき、心に沁みるような音を求める方におすすめです。

空間表現や定位の精度を重視する人

• 音場がどれだけ広がるか
• 楽器の響きがどれだけ明確に分かるか

といった空間表現の精度にこだわる方にも、SUSVARA UNVEILEDはおすすめです。

前後・左右だけでなく、上下方向にも自然な拡がりを持ち、目を閉じると目の前にステージが立ち上がるような臨場感があります。

HIFIMAN SUSVARA UNVEILEDレビューまとめ

HIFIMAN SUSVARA UNVEILEDは、“音楽にたましいが宿る”を体現した一台です。

従来モデルSUSVARAの美点を引き継ぎながら、ナチュラルかつ高解像なサウンドを実現。

高価格帯ではありますが、アンプやケーブルなどの環境を整えたときに見せるその真価は、唯一無二のリスニング体験と言えるでしょう。

すべての人におすすめできるわけではありませんが、

• 音に妥協したくない
• 生音のような質感を体感したい

と願うリスナーに、SUSVARA UNVEILEDへ投資する価値があると心から感じます。