final D8000 DC Pro Edition。
日本が誇るオーディオブランド「final」が手がけるハイエンド・フラッグシップヘッドホンです。


その音質、構造、哲学は世界中のオーディオファンから高く評価されています。

公式の製品ページを読むだけでワクワクしちゃいます!
さらに…

HiFiMAN SUSVARA UNVEILEDとの比較をしました。
気になる人は是非参考にしてみてください。
D8000 DC Pro Editionの音質
-
- 低域の量感
- 4
-
- 中域の厚み
- 4
-
- 高域の伸び
- 5
-
- 音場の広さ
- 4
-
- 定位の精度
- 5

- 一音一音にたましいが宿るような描写力
- 高域が滑らかに伸びて粒立ちも鮮明
- 音像がシャープで定位が正確
- ボーカルが甘く切なく響く
- 中域が濃密で音に厚みがある
- 低域が深く沈み量感も程よい
- 側圧が強く重い
- 長時間使用すると耳の縁が痛くなる
- ヘッドホンアンプなど音楽環境を整える必要がある

final D8000 DC Pro Editionの概要

final D8000 DC Pro Editionは、従来のD8000シリーズの集大成として開発されたヘッドホンです。


項目 | 仕様 |
---|---|
製品名 | final D8000 DC Pro Edition![]() |
筐体素材 | アルミマグネシウム合金(精密切削加工、硬質アルマイト処理) |
ドライバー | 平面磁界型(AFDS搭載超薄型アルミ振動板) |
ドライバー方式 | AFDS(Air Film Damping System)方式 |
感度 | 90dB/mW |
インピーダンス | 50Ω(1kHz時) |
質量 | 約431g(ケーブル除く) |
イヤーパッド・ヘッドバンド素材 | 和紙を使用した特殊生地+通気性発泡体 |
ヘッドバンド素材 | 和紙生地+特殊生地(湿気に強い設計) |
ケーブル | 京線製 銀メッキ銅線(4.4mm/1.5m・XLR/3m付属) |
接続端子 | 3.5mm 2極ロック機構付き(左右独立) |
価格(税込) | 598,000円 |
名称の「DC」は音楽記号「Da Capo(最初に戻る)」に由来し、設計を一から見直したという開発思想が込められています。
その結果、ドライバーユニットやAFDS構造、イヤーパッドや筐体の材質に至るまで全てが進化。

澄み切った高域においては、まさに次元の異なる完成度となっています。
D8000 DC Pro Editionの付属品


- 製品保証書・取扱説明書
- 銀メッキ銅線ケーブル*(4.4mm/1.5m、XLR/3m)
- *通常の「DC」はOFCケーブルとなります
- 剛性の高い専用ハードケース
- ハードケースの鍵
本機には、持ち運びや保管時に安心な剛性の高い専用ハードケースも付属。



恐らく個人ユーザーで持ち運ぶ人は少ないはず……!
プロ用途など、現場に持ち運びする際には安心です。


final D8000 DC Pro Editionをレビュー!初代D8000と比較


初代D8000から数年、DC Pro Editionではどこがどう進化したのか。
音質はもちろん、構造・装着感などを前モデルと比較してみました。
ハウジング構造
DC Pro Editionではハウジングのデザインが一新され、従来のパンチングメタルから、同心円状のドットパターンへと変更されました。



構造変更により、開口率が約70%向上し、音の抜けや解像度が格段に向上しています。
たとえば、オーケストラ楽曲で試聴すると、弦楽器のハーモニーが空間に広がる様子がよりリアルに再現され、まるでコンサートホールの中央にいるような臨場感が味わえました。

旧D8000より、抜けの良さが圧倒的に良くなっています!
本体の微調整は、聴きながら自由自在に調整できるため、ベストポジションを見つけてみましょう。

調整機能の様子をインスタの動画に投稿しているので参考ください。
イヤーパッドの厚み
DC Proではイヤーパッドの厚みが約1.5倍に増加。

素材は和紙ベースの特殊生地ですが、通気性と形状保持力が強化され、長時間のリスニングでも耳に負担がかかりません。
旧D8000のイヤーパッドとの厚み比較は以下のとおりです。

実際に3時間以上聴き込んだ際でも蒸れや熱こもりをほとんど感じず、耳全体がしっかりと包まれることで、音場の奥行きにも明確な違いを感じました。
旧D8000より音の距離はあるものの、中低域の空間的な厚みが増し、リスニング体験がワンランク上です。
本体重量と装着感
DC Pro Editionは旧D8000から約100gの軽量化を実現し、公式によると約431gとのこと。
しかし、実際に計測してみたところ以下のような結果となりました。


公式よりやや重い数値ですが、確かに前モデルより、“軽く感じる”装着感が得られます。
和紙素材のヘッドバンドと絶妙な側圧のバランスが、重量感をうまく逃がしてくれます。

旧モデルでは1時間を超えると疲労を感じていましたが、本機は長時間でも重さの面では快適です。
ケーブルと端子仕様の違い
付属ケーブルも進化しています。
本機には、京線製の銀メッキ銅線ケーブルが4.4mm(1.5m)とXLR(3m)の2種同梱されています。




旧D8000ではOFCケーブルが主でしたが、銀メッキ化により高域の抜けや透明感が向上しました。

また、端子はロック機構付きの3.5mm 2極が左右独立で採用されており、より高い信頼性と安定した信号伝送が可能です。


final D8000 DC Pro Editionをレビュー!実機を聴いてみた感想

D8000 DC Prp Editionの音質傾向
-
- 低域の量感
- 4
-
- 中域の厚み
- 4
-
- 高域の伸び
- 5
-
- 音場の広さ
- 4
-
- 定位の精度
- 5
実際にfinal D8000 DC Pro Editionを試聴した感想を、帯域ごとの音質の特徴をレビューしていきます。
高域が滑らかに伸びて粒立ちも鮮明

クラシック楽曲やシンバル、ストリングスで試聴すると、その滑らかさにまず驚かされます。
刺さることのない高域は、解像度と繊細さを両立しており、耳に届く音がふわりと空間に溶けていくようです。
高音ボーカルやピアノの倍音においては、粒の細かさと余韻の美しさが際立ちます。

美音好きの人はきっと幸せになれます……!
音像がシャープで定位が正確
クラシックやサントラの再生で顕著だったのが、音像の明確さと定位の正確さです。
ピアノの中央定位、弦の響き、シンバルの広がりが立体的に描かれ、空間の中に音がピタリと配置されている印象を受けます。
その要因を決めている要素に、約8mmにも及ぶシールバーコートケーブルの恩恵もあると感じます。



ミックスやマスタリング時の位相チェックにも使える精度の高さで、プロ用途にも通用するモニタリング性能です。
ボーカルが甘く切なく響く
女性ボーカル曲を再生した瞬間、特有の甘さと綺麗に伸び切る余韻に心を奪われました。
距離感が絶妙で、目の前でささやくような生々しさがあり、声の温度や湿度まで感じ取れるような描写力。
切なさ、寂しさ、柔らかさ、やさしさ、美しさ……。
あらゆる情緒が共存しているように響き渡り、“心を揺さぶる”サウンドです。
中域が濃密で音に厚みがある
アコースティックギターのストローク、女性ボーカルの透明感溢れるの歌声、ピアノの中音域。

いずれも輪郭がはっきりとしていながら、厚みのある音が濃密に広がります。
中低域を豊かに使う楽曲では、楽器の厚みと音場の奥行きが絶妙に絡み合い、まるで楽器に包まれているような没入感を得られました。
低域が深く沈み量感も程よい
本機は美音サウンドなので、低域の沈み込みは期待できないと感じます。
ですが、低域の深みとパンチ力の絶妙なバランスが印象的でした。
ドラムのキックは床を這うように沈み、ベースは音の輪郭を崩すことなくしっかりと支えます。
D8000シリーズは、finalが独自に開発した「AFDS(エアフィルムダンピングシステム)」を搭載。
平面磁界型ヘッドホンで発生しやすい低域の歪みや再生限界を解消する画期的な構造です。


AFDSにより、平面駆動型でありながらもダイナミック型に近い自然で力強い低音が得られます!
耳からヘッドホンを浮かせても、低音がしっかり鳴っているのが確認できます。
本機は低域を過剰に強調しませんが、量感や質感も申し分なく、ジャンルを問わず安定した再生が可能です。

final D8000 DC Pro EditionとHiFiMAN SUSVARA UNVEILEDを比較!どちらが良い?

ここでは、平面駆動型ヘッドホンの2大フラッグシップ「final D8000 DC Pro Edition」と「HiFiMAN SUSVARA UNVEILED」を徹底比較します。
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- 低域の量感
- 4
-
- 中域の厚み
- 4
-
- 高域の伸び
- 5
-
- 音場の広さ
- 4
-
- 定位の精度
- 5
final DC Prp Editionの音質傾向
-
- 低域の量感
- 4
-
- 中域の厚み
- 5
-
- 高域の伸び
- 4
-
- 音場の広さ
- 5
-
- 定位の精度
- 4

それぞれに個性があり、優劣ではなく“どちらが合うか”を判断するための参考としてご覧ください!
解像感の鋭さと情報量の差は?
SUSVARA UNVEILEDは、まるで「音を分解して再構築したかのような」鋭利な解像力を持っています。
各楽器の輪郭が研ぎ澄まされ、ミックスの細部まで見えるような感覚があります。


DC Pro Editionより、音が前へ前へ出てくるようなパワフルさが特徴!
一方、D8000 DC Pro Editionは情報量の豊富さこそ同等ながら、その描写は滑らかで丁寧。

角の取れた質感で“音楽としてのまとまり”を重視したチューニングが感じられます。
ボーカルや楽器の定位はどちらが明確?
定位の明瞭さでは、D8000 DC Pro Editionが一歩リード。
ボーカルの位置がくっきりと中心に浮かび上がり、左右の楽器も正確に定位します。

SUSVARAは広がりのある定位感とパワフルさが特徴。
緻密なステレオイメージを求めるならDC Pro Edition、臨場感溢れるHi-FiサウンドならSUSVARAに軍配が上がるでしょう。
音場の広さと奥行きに違いはある?
横方向の音場の広さはSUSVARAがわずかに優勢。
音がスピーカーの外まで広がっていくようなスケール感があります。
対してDC Pro Editionは、奥行き方向に強く、音が前後にしっかりとレイヤーを持って展開されます。
まるで“ステージの最前列”にいるような近接感と包囲感が特徴です。

低域の沈み込みと質感はどちらが上?
DC Pro Editionは低域がしっかり沈み、弾力感と量感のバランスが絶妙。
POPSやロックでも土台が崩れず、豊かでリアルな低音を奏でてくれます。
SUSVARAはタイトでスピード感があり、キレ重視のチューニング。

ダンピングの効いた迫力のある低音を楽しみたいならSUSVARAが適しています。
鳴らしやすさとアンプに繋げて比較
SUSVARAは非常に駆動力が必要なモデルで、ハイエンドの据え置きアンプが前提。
以下はWoo Audio WA22のボリュームです。
分かりづらいですが、DC Pro Editionより高めのボリューム位置でした。


扱いやすさでは、DC Pro Editionに軍配が上がります。
長時間聴いて疲れにくいのはどっち?
音の刺激の少なさやイヤーパッドの心地よさから、DC Pro Editionは長時間リスニングに向いています。
イヤーパッドの通気性や軽量設計も相まって、2時間くらいなら違和感なし。

SUSVARAはその精密な描写とパワフルさゆえに、聴き疲れを感じる場合も。

サ行がきつく刺さります。
短時間集中派には向いているものの、リラックスして“流し聴き”するにはやや過剰かもしれません。
ただし、装着感においてはSUSVARAに軍配が上がります。



重量もDC Pro Editionと差はないものの、特殊なヘッドバンド構造で、側圧も適度。


長時間のリスニングでも快適さを損ないにくい設計です。


final D8000 DC Pro Editionを鳴らし切るコツは?リケーブルするべき?

D8000 DC Pro Editionは完成度の高いヘッドホンですが、そのポテンシャルを最大限引き出すには「適切な駆動」「音源選び」が欠かせません。
ヘッドホンアンプに繋ぐ
DC Pro Editionの感度は90dB/mWと低め。
スマホやポータブルDAP単体では本来の音が出ません。

- オール三極管
- A級動作
- トランス結合・ フルバランス
上記が特徴の真空管アンプとの組み合わせでは、音場が一気に開け、各帯域の制御力も格段に向上。

音圧を上げても歪まず、定位と解像感の精度が飛躍的にアップします。
ドライブ力が足りないと、中低域がこもったり、高域が刺さる印象になることもあるため、アンプ選びは非常に重要です。
リケーブルはしない
DC Proには標準で京線製の銀メッキ銅線ケーブルが2本付属(4.4mm / XLR)。このケーブルの完成度が非常に高いです。

中には、「他社製の高級ケーブルも試してみたい」と感じる方もいるかもしれません。
しかし筆者はあえて、他メーカーのケーブルには手を出しませんでした。
その理由はシンプルで、finalの音作りは、ケーブルを含めた“トータル設計”で完結していると考えているからです。
ヘッドホン本体とケーブル、素材や線径まですべてが綿密に調整され、ひとつの「完成された音」が生まれています。
初期状態でも十分に完成された音が楽しめるため、まずは純正ケーブルで運用することを強くおすすめします。
高音質音源で空間描写を極める
本機の真価は、音源の解像度に応じてリスニング体験が大きく変わる点にあります。
ロスレス音源、DSD、ハイレゾFLACなどを活用することで、ヘッドホンの持つ空間表現力を存分に引き出せます。

人の耳では感知できない192kHz/24bit音源において、濃密な情報量を体感しました。
クラシックやサウンドトラック、アコースティック作品では、録音現場の空気感やステージの奥行き、楽器の配置までもが目に見えるような感覚に。
音源と再生環境にこだわることで、本機のポテンシャルは限界まで高まります。

final D8000 DC Pro Editionはどんな人におすすめ?

final D8000 DC Pro Editionは、単に“高音質なヘッドホン”という枠を超え、「音楽体験そのものをアップグレードしたい人」のための製品です。
以下に当てはまる方であれば、このヘッドホンの価値を最大限に引き出すことができるでしょう。
音源の細部をクリアに聴き取りたい人
「この曲、こんな音入ってたんだ……」という体験をしたい人にとって、本機は理想かもしれません。
ハイレゾ音源の微細な音の粒や、余韻の広がり、息遣いまでも逃さず描写するこのヘッドホンは、まるで“音の顕微鏡”。

ジャンルを問わず、すでに聴き慣れた楽曲であっても新たな発見があるため、音源アーカイブを“掘り直す”楽しさを感じたい人におすすめです。
マスタリングなど音楽制作に使いたい人
DC Pro Editionは、定位の正確さ・位相の整合性・トランジェントの反応など、プロフェッショナルな音楽制作に求められる要素を高い水準で満たしています。
自宅スタジオ環境や夜間の作業時に、スピーカーの代わりとして活用できる再現力を持ち、マスタリングや微細なEQ判断にも対応可能です。

「音楽の最終チェック」を担えるヘッドホンを探している制作者にとって、大きな武器になるでしょう。
妥協なき設計思想とクオリティを味わいたい人
一つの製品に宿る思想・哲学を味わいたい。そんな“モノ選びの美学”を持った人にも、本機は確かな満足を得られます。
素材の選定から加工精度、構造設計に至るまで、finalの熱量が結晶化された製品です。
「音だけでなく、モノとしての完成度」にこだわりたい人。
所有する喜びを感じたい人。
そんな人には、間違いなく刺さるヘッドホンです。

筆者もその一人です……!

final D8000 DC Pro Editionレビューまとめ
final D8000 DC Pro Editionは、「音楽を深く味わうために作られた」高級ヘッドホンです。
単なるスペックの高さやブランドイメージだけではなく、実際に耳で聴いたときの感動、空間の広がり、音の質感といった感性に訴える魅力が詰まっています。
もし迷ったなら、まずは試聴するのがおすすめ。
本記事をとおして、final D8000 DC Pro Editionの魅力が伝わりましたら幸いです。
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